受け口（反対咬合）とは？

 

受け口と正常な噛み合わせの違い

受け口（反対咬合）とは、本来上の歯が前に出ているべき噛み合わせが逆になり、下の歯が前に出ている状態を指します。正常な噛み合わせでは、上の前歯が下の前歯をわずかに覆う形になりますが、受け口の場合、この関係が崩れます。

正常な噛み合わせの特徴

• 上の前歯が下の前歯を2mm程度覆っている
• 奥歯のかみ合わせが適切で、しっかりと噛める
• 発音や咀嚼に問題がない

受け口の特徴

• 下の前歯が上の前歯より前に出ている
• 奥歯のかみ合わせもズレることが多い
• 噛みづらさや発音障害が生じることがある

 

 

受け口としゃくれの違い

受け口と「しゃくれ（下顎前突）」は異なります。

用語	特徴
受け口（反対咬合）	下の前歯が上の前歯より前に出ている状態。噛み合わせの問題。
しゃくれ（下顎前突）	顎全体が前に突き出ている状態。骨格的な問題が主な原因。

受け口は矯正治療で改善できることが多いですが、しゃくれの場合は顎の骨格自体が前に突出しているため、外科手術が必要になることもあります。

 

 

受け口の発生率と原因

日本人の受け口の割合

• 日本人の5～10%程度が受け口とされる
• 欧米人に比べ、日本人は受け口の割合がやや高い
• 遺伝的要因が強く、家族に受け口の人がいると発生率が高くなる
• 早期治療で症状の悪化を防げる可能性がある

受け口の主な原因

遺伝的要因

• 親が受け口の場合、子どもも受け口になる可能性が高い
• 上顎が小さい、または下顎が大きいと受け口になりやすい
• 歯の生え方や顎の大きさも遺伝の影響を受ける

環境要因と生活習慣

• 柔らかい食事が多いと上顎の発達が遅れる
• 噛む回数が少ないと顎のバランスが崩れる
• ストロー飲み・哺乳瓶の長期使用が影響を与える

 

 

受け口の影響

見た目への影響

• 顎が前に出て「しゃくれ顔」になる
• 口が閉じにくく、フェイスラインが崩れる
• 老け顔に見えやすく、ほうれい線が深くなる

発音や咀嚼への影響

• サ行・タ行・ラ行の発音が不明瞭になりやすい
• 食べ物を噛み切りにくく、消化不良を引き起こしやすい
• 顎のズレが原因で顎関節症になりやすい

 

 

受け口の治療方法

矯正治療

ワイヤー矯正

• あらゆる受け口に対応可能
• 効果が高いが、装置が目立つ

マウスピース矯正

• 見た目が目立ちにくい
• 軽度の受け口に適応

セラミック矯正

• 短期間で見た目を改善できるが、歯を削る必要がある

外科手術が必要なケース

• 顎の骨格自体が原因の場合、矯正だけでは治せない
• 上顎または下顎の骨を再配置する手術（顎変形症手術）が必要
• 顎のズレが10mm以上の場合、手術が適応されることが多い

子どもの受け口矯正

• ムーシールド（3～12歳）：マウスピースを使い、軽度の受け口を改善
• プレオルソ（4～12歳）：歯並びの矯正と口の機能改善
• チンキャップ（9～18歳）：下顎の過成長を抑制
• フェイシャルマスク（7～12歳）：上顎の発育不全を改善
• ワイヤー矯正（6～12歳）：本格的な歯列矯正

大人の受け口矯正

• 軽度ならワイヤー矯正・マウスピース矯正
• 重度の場合は外科手術が必要

 

 

保険適用の有無

• 顎変形症と診断され、手術が必要な場合は保険適用
• 矯正治療のみでは基本的に自費診療

 

 

まとめ

受け口は、見た目や機能面に影響を及ぼし、放置すると顎関節症や歯の摩耗のリスクが高まります。子どものうちに矯正治療を受けることで、将来的な手術を回避できる可能性があります。大人の場合も、矯正や外科手術によって改善が可能です。早期に歯科医に相談し、適切な治療を受けましょう。

 

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